ロレックス ミルガウス Ref.1019――耐磁時計の頂点に立った完成形

ヴィンテージから現行モデルまで幅広い時計を取り揃えるリベロが注目する新旧のレアモデルを紹介する連載コラム。第41回は、ロレックス ミルガウス Ref.1019を紹介する。

ミルガウス Ref.1019は、ロレックスが誇る耐磁時計の中でも特に完成度の高いモデルであり、1000ガウスの耐磁性能を備えた唯一無二の存在である。フランス語で「1000ガウス」を意味する"Milgauss"の名にふさわしく、科学者や技術者が強磁場環境下で使用するために設計されたプロフェッショナルモデルである。

1960年頃に発表されたRef.1019は、ミルガウスの歴史の中で最も長期にわたり生産されたモデルであり、耐磁時計としての完成形と位置付けられている。無骨でインダストリアルな長短針、先端を赤く塗り視認性を高めた秒針、シンプルで端正な文字盤デザインは、機能美に徹したロレックスの思想を色濃く示している。ダイヤルはシルバーとブラックの2種類が存在し、ブランドロゴの下に配された赤い「MILGAUSS」の文字が静かに存在感を主張する。ポリッシュ仕上げのスムースベゼルと37mmのステンレススチールケース、そして堅牢なオイスターブレスレットを組み合わせ、実用時計として高い完成度を誇るモデルである。

 

  • ミルガウス
    型番:1019
    ケース素材:ステンレススチール
    ケース径:約37mm
    ムーブメント:自動巻
    付属品:箱・保証書・ミルガウス冊子 商品の詳細はこちら≫

 

Ref.1019は初代Ref.6541から大幅な設計変更を受けた。初代の特徴であった回転ベゼルや稲妻秒針、ハニカム文字盤は姿を消し、外観は徹底した実用重視へと再構築された。公式に理由は語られていないが、研究者・技術者向けの工具時計としての本質へ回帰し、「仕事の現場で真に役立つプロフェッショナルギア」へと進化させる意図があったとされている。尖った個性を削ぎ落とし、実用性と視認性に振り切った判断こそが、Ref.1019の価値を際立たせている。

 

 

ムーブメントには、Ref.1019専用のCal.1580が搭載されている。耐磁素材を用いたテンプとヒゲゼンマイ、そしてムーブメント全体を包む軟鉄製インナーケースが、外部磁気から機構を保護する強力なシールドを形成し、優れた耐久性と高い精度を両立する設計となっている。

Ref.1019は1988年まで約30年にわたり製造され、ミルガウス史上最長の生産期間を誇る。その中で前期型と後期型へ仕様変更が行われ、文字盤仕上げや秒目盛りの違いがコレクター間で重要な識別要素となっている。前期型は縦ヘアライン仕上げと0.2秒刻みの目盛りを備え、後期型は吹き付け塗装仕上げと0.5秒刻みへ変更されている。

 

 

長期間製造されたモデルとはいえ、当時の需要は限られており生産数は決して多くない。さらにヴィンテージロレックスにおいて避けられない、針やダイヤル、ブレスレットなどのパーツ交換により、純粋なオリジナル状態で残る個体は極めて少ない。そのため、オリジナル性の高い個体は市場で非常に高く評価され、年々希少価値を増している。

Ref.1019は、単なる耐磁時計ではない。科学技術の最前線で求められる実用性を突き詰めた結果、過剰な装飾を排した機能美が結晶したモデルであり、ロレックスが追求するプロフェッショナルウォッチの哲学を純粋な形で体現している存在である。

 

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