オメガ スピードマスター「アラスカプロジェクト」

ヴィンテージから現行モデルまで幅広い時計を取り揃えるリベロが注目する新旧のレアモデルを紹介する連載コラム。第31回は、オメガ スピードマスター「アラスカプロジェクト」を紹介する。

「アラスカ」とは、1969年から1970年代にかけて、OMEGAがNASAからの依頼を受け、宇宙での過酷な温度変化に対応するスピードマスターを開発する目的で立ち上げたプロジェクトのコードネームである。このプロジェクトは、アラスカ大学などと共同で進められ、ピエール・ショパール氏が主導した極秘プロジェクトであった。

最初のプロトタイプは、大気のない宇宙空間での強い太陽光線を反射することを想定して設計された。熱反射効率を考慮したホワイトダイヤルに、赤色のクロノグラフ秒針と視認性を高める赤色の「アポロ」針を採用している。さらに、インナーケースには当時新素材であったチタンを用い、時計本体を覆うアルミニウム製の熱遮蔽体(アウターケース)を備えていた。

 

 

1971年から1973年にかけて、第二期のプロトタイプが開発された。初期のプロトタイプから継承された酸化亜鉛でコーティングされたホワイトダイヤルはそのままで、積算計の「アポロ」針は赤から黒に変更されている。また、ベゼルには今回紹介するモデルと同様に、500km/hまでのタキメータースケールが刻まれたものと、0から10秒刻みで60まで記されたものの二種類が確認されている。

 

 

1973年5月31日には、極端な温度変化から時計を保護するために設計されたアウターケースに関するスイス特許(CH 537170)が付与された。しかし、NASAはプロトタイプについて「スピードマスターを改良する必要はない」との判断を下し、このプロジェクトは試作段階のまま採用されることはなかった。

 

プロトタイプで終わらせない限定モデル

試作で終わるという結末を迎えた「アラスカプロジェクト」であったが、2008年、OMEGAは創業160周年を記念して世界限定1970本の「スピードマスター アラスカプロジェクト」を発売した。このモデルには、太陽光線の反射を軽減するために開発されたホワイトダイヤルや、フィン付きクロノグラフ針(「アポロ」針)、特別仕様の強化プラスティック風防、そしてインデックスにはルミノバが使われている。視認性や機能性において、他のスピードマスターとは一線を画す仕様である。

 

  • オメガ
    スピードマスター アラスカプロジェクト
    世界1970本限定
    型番:311.32.42.30.04.001
    素材:ステンレススチール
    ケース径:約40mm
    文字盤:ホワイトダイアル
    ムーブメント:手巻き 商品の詳細はこちら≫

さらに、このモデルの大きな特徴として、アルミニウム製のアウターケースが付属している。このケースを装着することで、-148℃から260℃という極限の温度変化に耐えられる驚異の耐久性を実現している。ムーブメントにはCal.1861を採用しており、このムーブメントは1997年にCal.861のマイナーチェンジ版として発表されたものである。Cal.861と比較してメッキの種類が異なる程度で、基本的な構造はほぼ同一である。このムーブメントが発表されてから50年以上も継続して使用されていることは、その信頼性の高さを物語っている。

こうした背景を持つスピードマスターの限定モデルは、当初60万円台で販売されていたが、現在では価格が天井知らずに高騰している。見つけたときが購入の好機であると言えよう。

 

 

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