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ヴァシュロン・コンスタンタンの代表的スポーツモデルの源流「222(トリプルツー)」

ヴィンテージから現行モデルまで幅広い時計を取り揃えるリベロが注目する新旧のレアモデルを紹介する連載コラム。第27回は、ヴァシュロン・コンスタンタンを代表するラグジュアリースポーツモデル「222(トリプルツー)」を紹介する。

ヴァシュロン・コンスタンタンを代表するラグジュアリースポーツモデルといえば、言わずと知れたオーヴァーシーズである。その源流の一つとなるモデルが、今回紹介する「222」である（一説では関係ないともいわれるが）。「222」は「333」や「フィディアス」といったモデルチェンジを経て、オーヴァーシーズへと変化していった。「222」は、ヴァシュロン・コンスタンタンが1977年に創業222周年を記念して限定発売したモデルである。当時、オーデマピゲは1972年にロイヤルオークを発表し、続いてパテックフィリップが1976年にノーチラスを発表した。ヴァシュロン・コンスタンタンも「222」を発表したことで、3大ラグジュアリーウォッチブランドによるステンレススティール製スポーツモデルの三つ巴の戦いに加わった。

デザインと機能

ロイヤルオークとノーチラスがジェラルド・ジェンタによるデザインであることは広く知られている。それに対し、「222」のデザインはドイツ人デザイナー、ヨルグ・イゼックが手がけたものである（後継モデルである初代オーヴァーシーズまで彼がデザインを担当している）。ケースとブレスレットが一体型であることに加え、ムーブメントをケースの表側から組み込むモノブロック構造を採用し、波型に切り込みの入ったベゼルをねじ込んで固定することで120mの防水性を実現している。ケースの5時位置には、ブランドを象徴するマルタ十字が施されており、洗練されたバーインデックスとストレート針の組み合わせにより、スポーティさとエレガントさを併せ持つデザインとなっている。

薄型高機能を実現するために、ライバル関係にある3モデルはいずれもジャガー・ルクルト製のムーブメントを採用しており、その性能の高さを証明している。初代「222」には、ステンレススティール製、ステンレススティールとイエローゴールドのコンビネーションモデル、イエローゴールド製モデルが存在し、それぞれに自動巻きムーブメントとクォーツムーブメントが製造された。いずれも限定生産であり生産本数が少ないとされているが、特にステンレススティール製の自動巻きモデルは、現代のマーケットにおいて価値が上昇している。

ヴァシュロン・コンスタンタン 222
Ref.46003
Cal.VC1124（ジャガールクルト社製Cai.889ベース）自動巻き
33.5㎜
ステンレススティール製ブレスレット
3時位置に日付表示

復刻の価値

ノーチラスやロイヤルオークは大きなデザイン変更を行わず現行モデルに至っているが、「222」がオーヴァーシーズの進化モデルと位置づけられるならば、他の2モデルに比べて大幅なデザイン変更が行われてきたと言える。しかし、初代「222」の生産終了から37年が経過した2022年、復刻デザインである「ヒストリーク・222」が発表された。これは、初代「222」を忠実に再現しつつ現代的に見直したモデルであり、ライバルたちとは異なるステージに位置するモデルと感じる人も少なくないだろう。

進化点として、ケースと一体となっているブレスレットは人間工学的に装着感を改善し、クラスプに安全性を考慮した設計が取り入れられている。ケースバックにはサファイアクリスタルを採用し、専用ローターを備えた自社ムーブメントCal.2455/2を鑑賞できるようになった。現時点（2024年9月現在）では、18Kイエローゴールド製のモデルのみがヴァシュロン・コンスタンタンブティックで販売されており、現行品とはいえ、非常に流通量の少ないモデルとなっている。