別格のレア度を誇るロレックス「コスモグラフ デイトナ」Ref.16520の最初期モデル

ヴィンテージから現行モデルまで幅広い時計を取り揃えるリベロが注目する新旧のレアモデルを紹介する連載コラム。第1回は、ロレックス「コスモグラフ デイトナ」Ref.16520の最初期モデルの魅力を探る。
1988年の自動巻き化で大幅リニューアル
ロレックス「コスモグラフ デイトナ」は、“世界で最も有名なクロノグラフ”と言っても過言でない超人気モデルであり、これまで様々な変遷を遂げてきた。
その進化の鍵を握る重要なポイントが、防水性能の向上とムーブメントの自動巻き化にある。
1963年、最初期のモデルRef.6239が登場した時点では「コスモグラフ デイトナ」は手巻き式のクロノグラフであり、この時点で正式なモデル名には、防水性を示す“オイスター”の名称は記されていなかった。
この時代、ロレックスには自社開発・製造のクロノグラフ専用ムーブメントは存在せず、Ref.6239はバルジュー社のエボーシュ(汎用ムーブメント)をチューンナップした手巻きムーブメントCal.722を搭載していた。
その後、防水クロノグラフプッシャーを採用したプロトタイプと言われるRef.6240が登場するのだが、「コスモグラフ デイトナ」の文字盤に「oyster」のプリントが入るようになったのは、1969年に発表されたRef.6263からである。
誕生から25年の歳月を経た1988年、「コスモグラフ デイトナ」はRef.16520から自動巻き化に転じる。

「コスモグラフ デイトナ」史上初の自動巻きモデルRef.16520。
自動巻きムーブメントの初採用にあたって、ロレックスはこれまでと同様、ゼニス社の自動巻きクロノグラフ専用ムーブメントCal.400をチューンナップする方向を選び、Cal.4030を開発した。ベースムーブメントが3万6000振動であったことに対して、Cal.4030は耐久性の向上を目的に2万8800振動まで抑えたことが、いかにもロレックスらしいアプローチだと言えるだろう。
Cal.4030の搭載とともにケースデザインも一新された。ケース径を40mmまでサイズアップしつつ、「コスモグラフ デイトナ」では初となるリューズガードの採用によって、水深100mの防水性能を確保した。
マニア心酔の希少なRef.16520“マーク1ダイヤル”
いよいよ本題に入る。1988~2000年まで生産されたRef.16520にはいくつのバリエーションが存在し、それぞれ人気や評価が異なっている。その中でも今回紹介する最初期のモデルは入手困難な状況が続いている。主な特徴を説明しよう。
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ロレックス コスモグラフ デイトナ
Ref.16520(1988年製造)
40mm径
自動巻き(Cal.4030)
こちらのRef.16520はロレックスマニアの間で通称“マーク1ダイヤル”と呼ばれており、エナメルのような艶感を持つ大変希少なホワイトダイヤルを含め、3つのバリエーションが存在する。主な特徴は文字盤の表記にあり、12時位置の表記のうち、5段目の「COSMOGRAPH」の表記が一段下がっていること、これ以外にも6時位置の12時間積算計の6が逆さまに表記されていることも挙げられる。
ひと目見れば分かる逆向きの6表記もこのダイヤルの特徴のひとつ。
コアなマニアたちに“段落ち”の名で知られる12時位置のダイヤル表記。
“マーク1ダイヤル”において、パーツの整合性を確認する上でベゼルは非常に重要なパーツであり、50~200mまでの平均時速が計測可能なタキメータースケールを備えている。希少な全面サテン仕上げのシングルロックのブレスレットは、このモデルも含め、1988~1994年までのモデルに装着されていた。これらのパーツが揃っていることからも、この個体はオリジナリティに関して申し分ないことが分かる。
いざ探してみると見つかりにくい初期型のブレスレット。
分離型のフラッシュフィットは「503」、無垢のブレスレットは「78360」のナンバーが刻印。
旧型の「コスモグラフ デイトナ」と言えば、手巻きモデル全般の方が入手は難しいと思われるが、“マーク1ダイヤル”に限って言えば例外だろう。なぜなら、製造期間が1988~1989年のわずかな間でしかなかったことから、市場に出てくる機会が非常に少ないからだ。
この他にもRef.16520には、経年変化でインダイヤルが変色した“ブラウンアイ”などの人気モデルが存在するが、ファーストモデルにあたる“マーク1ダイヤル”は安定した人気があり、資産価値や将来性という意味でも注目すべき1本だと言える。

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