時計史に必要とされ続ける独立ブランド ウルバン・ヤーゲンセン

ヴィンテージから現行モデルまで幅広い時計を取り揃えるリベロが注目する新旧のレアモデルを紹介する連載コラム。第33回は、ウルバン・ヤーゲンセン「ヤーゲンセン 1745 コレクション」を紹介する。

ウルバン・ヤーゲンセンは1700年代にオランダで誕生した。200年以上の歴史を持ち、今もなお職人から職人へと高度な技術を継承し続ける数少ないブランドである。かつては独立性を保っていたブランドであっても、大資本によって買収されるか、大手グループに吸収され、大量生産とブランディングによる付加価値の創出へと変貌を遂げた例は多い。そのような状況の中で、ウルバン・ヤーゲンセンは対極に位置するブランドの一つである。それだけ長い歴史の中で必要とされてきたからこそ、現在も存在し続けているのだ。そのため、このブランドを未来へ継承し、技術を学びたいと考えた独立時計師アカデミー(AHCI)のメンバーであるカリ・ヴティライネン氏が、2021年に同ブランドを買収し、CEOに就任したことも納得できる話である。

 

ヤーゲンセン 1745 コレクション リファレンス1140L

今回紹介するのは、ウルバン・ヤーゲンセンの「ヤーゲンセン 1745 コレクション リファレンス1140L イエローゴールド」である。2015年に発表された本シリーズは、ブランドの歴史が詰まった一本といえる。

まず、ケースに取り付けられた「ティアドロップラグ」に注目したい。一つひとつ鍛造し、熱処理と手作業による研磨を経た後、ラウンド型のケースにはんだ付けで溶接される。一般的には、型に素材を流し込んで成形し、バリを取って研磨する工程を想像するが、手作業による溶接でしか得られない美しさが、このラグの大きな特徴である。

 

 

次に、ダイヤルについて述べる。素材にはソリッドシルバーを用い、すべての装飾はハンドギョーシェによるものである。スモールセコンドには「パニエ」装飾、文字盤中央部分には「サブラージュ」仕上げ、外周には「プロサージュ」仕上げが施され、細部に至るまで卓越した技術が注ぎ込まれている。

さらに、ダイヤル中央に設置された針も、ウルバン・ヤーゲンセンの特徴の一つである。美しいブルースチール針はもちろんのこと、特に短針の独特なデザインが目を引く。短針の円形部分は、24Kゴールドをダイヤモンドで研磨したものであり、針の先に向かって円が細くなるよう成形されている。この円形部分とブルースチールを組み合わせ、一体となった短針が作り上げられている。

 

  • URBAN JURGENSEN
    JURGENSEN 1745 COLLECTION
    ヤーゲンセン 1745 コレクション
    Ref:1140L
    YGケース径:40mm
    ケース素材:イエローゴールド
    防水性:3気圧
    ストラップ:アリゲーター
    ムーブメント:手巻、ウルバンヤーゲンセンムーブメント P4

 

 

外観の美しさはさることながら、搭載されるムーブメントも見逃せない。本モデルには、同社の手巻き式ムーブメント「P4」を採用。ツインバレルによる72時間のロングパワーリザーブと、スイスレバー脱進機を備えている。

すべてにおいて熟練の職人の手によって組み立てられたこの一本を手にしたとき、その価値に魅了され、時を刻む美しい工芸品に時間と心を奪われることになるだろう。

 

 

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