高騰するカルティエのヴィンテージモデルを象徴する1本「クッサン バンブー」

ヴィンテージから現行モデルまで幅広い時計を取り揃えるリベロが注目する新旧のレアモデルを紹介する連載コラム。第28回は、カルティエのヴィンテージモデルを象徴する1本「クッサン バンブー」を紹介する。

カルティエ上級コレクションの価値

近年、カルティエウォッチの価値が上昇している。特に上級コレクションは世界中で注目を集めている。カルティエの上級プライベートコレクションといえば1998年から2008年まで展開された「CPCP（Collection Prive Cartier Paris / コレクション プリヴェ カルティエ パリ）」に続き、2017年からは「プリヴェ・コレクション」が「メゾンの伝説となったモデルを称賛し、探求した愛好家に向けたコレクション」（公式サイトより引用）として、毎年一つのコレクションを発表している。これらはすべて少数生産で、限られた店舗のみで取り扱われている。2008年にリシュモングループがロジェ・デュブイを買収し、カルティエにモジュール（ムーブメント）を提供するようになるまでは、カルティエはジラール・ペルゴやジャガー・ルクルト、ピアジェなどとムーブメントを共同開発していた。プリヴェ（CPCP）コレクションの特徴は、文字盤の6時位置に生産地を示す「PARIS」の表記があることである。 2017年から始まった「プリヴェ・コレクション」が、過去の名作を毎年一つのコレクションを小ロットで生産しており、どのモデルも即完売となっていることで、過去の名作（ヴィンテージモデル）にも注目が集まるきっかけの一つとなっている。

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• Cartier
  Coussin Bamboo Tank / クッサン バンブー タンク
  ■型番：78102
  ■モデル：クッサン バンブー LM
  ■駆動方式：手巻き(ETA社製)Cal.78-1
  ■素材：18Kイエローゴールド
  ■ダイヤル：ホワイトエナメル製ダイヤル
  ■ケース径：縦約36.5mm x 横約28mm
  

クッサン バンブー タンク

今回紹介する「カルティエ クッサン バンブー タンク」は、1973年に発表された「ルイ・カルティエ コレクション」12モデルの一つである。これらのモデルは共通して18Kイエローゴールドのケース（一部のモデルにはホワイトゴールドのケースも存在）、エナメル製の文字盤にローマ数字のインデックス、ブルースティール製のバトン針、サファイアカボションを施したリューズ、そしてETA社製手巻きムーブメントが搭載されていた。 前述のように、近代のモデルはプライベートコレクションと区別するために文字盤の6時位置に「SWISS」や「PARIS」の表記で差別化を図っているが、1970年代の「ルイ・カルティエ コレクション」の文字盤については、同年代で両方の表記が確認できる。この違いは販売されていた店舗の違いに由来し、「SWISS」はニューヨーク店、「PARIS」はロンドン店およびパリ店で扱われていたものである。 今回紹介する「クッサン バンブー タンク」は、ルイ・カルティエ コレクションの中でも最も生産本数が少なかったとされており（シリアル番号の調査によると300本にも満たなかったとの説もある）、希少なモデルである。カルティエのタンクコレクションは直線的なケースデザインが特徴であるが、このモデルは「クッサン（＝クッション）」をイメージした柔らかな曲線を持つスクエア形状に、竹を模した「バンブー」のデザインが施されている。その個性的なデザインと少数生産という希少性が、コレクターの心を捉えている。